特定技能の採用費用を徹底解説|初期費用・月額の相場とケース別比較

- 登録支援機関への支援委託費の平均は月28,386円(出入国在留管理庁調査)。
- 委託費の71.8%は月15,000円〜30,000円に収まる。
- 義務的支援にかかる費用は外国人本人に負担させてはならない。
- 海外採用は国内採用より初期費用が高くなる傾向がある。
- 特定技能1号の在留期間は通算5年が上限、2号は上限なし。
私は行政書士として8年、地方の中小製造業5社以上の特定技能採用に直接伴走してきました。この記事では制度の建前ではなく、現場で実際に動いたお金の話をします。
特定技能の採用費用の全体像|初期費用と継続費用でいくらかかる?

特定技能の採用費用は「最初に一度だけ払う初期費用」と「雇用中ずっと払い続ける継続費用」の2つに分けて考えるのが正解です。
なぜ分けるか。資金繰りの組み立て方がまったく違うからです。初期費用は採用の入口で一気に出ていき、継続費用はボディーブローのように毎月効いてきます。
初期費用(一度きりにかかるお金)の内訳
初期費用の中心は、人材紹介手数料・在留資格の申請費用・渡航費・住居の準備費です。海外から呼ぶか国内で採るかで、ここが大きく動きます。
正直に言うと、初心者が見落としがちなのは住居の初期費用です。敷金礼金や家具家電をそろえると、見積もりより膨らみます。
継続費用(毎月・毎年かかるお金)の内訳
継続費用の柱は、給与を含む人件費と、登録支援機関への支援委託費です。出入国在留管理庁の調査では、支援委託費の平均は月28,386円・1人あたりでした。
特定技能では受け入れ企業に支援計画に基づく支援義務があり、自社で全部できなければ登録支援機関に委託します。この委託費が毎月の固定費になります。
費用の支払いスケジュールとキャッシュフロー管理
費用は「内定→申請→入国前→入国後」の順でタイミングがずれて発生します。ここを読み違えると、入国直前に資金が足りなくなります。
私の現場感覚では、住居の敷金礼金と渡航費が入国の1〜2か月前にまとめて出ます。手数料の支払い条件も会社ごとに違うので、契約前に支払い時期を必ず確認してください。
| 時期 | 主な費用 |
|---|---|
| 契約・内定時 | 人材紹介手数料の一部・着手金 |
| 在留資格申請時 | 申請費用・行政書士委託費・健康診断費 |
| 入国前後 | 渡航費・住居の初期費用 |
| 雇用開始後(毎月) | 給与・社会保険料・支援委託費 |
【初期費用】特定技能外国人の採用時にかかる費用の相場
初期費用は採用ルートによって変わり、海外採用は送り出し機関の手数料や渡航費が上乗せされる分、国内採用より高くなる傾向があります。

以下、内訳ごとに見ていきます。公式に固定された相場表はないため、相場の数字は民間調査の傾向として扱います。
人材紹介会社・送り出し機関への手数料
採用ルートで最も金額が動くのが、この手数料です。国内の人材紹介会社を使う場合と、海外の送り出し機関を経由する場合で構造が違います。
海外採用では送り出し機関への手数料が別途かかります。民間の費用解説でも、海外採用が国内採用より高くなる傾向が示されています。
在留資格の申請費用(自社申請と行政書士委託の比較)
在留資格の申請は自社で行うこともでき、行政書士に委託すると委託費が上乗せされます。
私の立場で正直に言えば、初めての1人目は委託をおすすめします。書類の不備で不許可になると、入国時期が数か月ずれ、結果的に高くつくからです。2人目以降で社内にノウハウが溜まれば、自社申請に切り替える判断もありです。
| 項目 | 自社申請 | 行政書士委託 |
|---|---|---|
| 費用 | 委託費なし | 委託費が発生(要確認) |
| 手間 | 書類作成を自社で全負担 | 大部分を任せられる |
| 不許可リスク | 初回は高め | 専門家が確認し低減 |
| 向くケース | 2人目以降・ノウハウあり | 初回・複雑な案件 |
渡航費用・住居の準備費用・健康診断費用
渡航費・住居の準備費・健康診断費は、海外から呼ぶときに特に効いてくる初期費用です。
渡航費は航空券代で、海外採用なら企業が負担するのが一般的です。住居は敷金・礼金に加え、家具家電をそろえる費用が現実には大きい。健康診断費も入国時に発生します。
【継続費用】雇用後に毎月・毎年かかる費用の相場
継続費用の中心は給与を含む人件費で、これに登録支援機関への支援委託費(平均月28,386円)が加わります。

継続費用は一度始まると雇用が続く限り出ていきます。初期費用より、ここの設計が会社の体力を左右します。
月額人件費(給与・社会保険料・福利厚生)
給与は日本人と同等以上が原則で、社会保険料の会社負担分も日本人と同じようにかかります。
ここを「外国人だから安く」と考えると失敗します。法令上も実務上も、人件費は日本人雇用と同じ土俵で見積もるのが現実的です。
登録支援機関への支援委託費用の相場と内訳
登録支援機関への支援委託費は、平均で月28,386円・1人あたりというのが公的な数値です。委託先の71.8%が月15,000円〜30,000円に設定しています。
前述の出入国在留管理庁の調査によると、この価格帯に7割超が集中しています。だから「月5万円」と提示されたら、私は理由を必ず聞きます。何が含まれて高いのか、内訳を確認すべきです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均額(1人・月) | 28,386円 |
| 15,000〜30,000円の設定割合 | 71.8% |
在留資格の更新費用・協議会の年会費・事務コスト
特定技能1号は在留期間の上限が通算5年で、その間に更新申請が発生し、その都度費用がかかります。
加えて、受け入れ後の定期報告や各種届出といった事務コストが地味に効いてきます。建設や一部分野では協議会への加入が必要で、年会費が別途かかる点も見落とせません。
【ケース別シミュレーション】結局いくらかかる?費用比較表

特定技能の総費用は、海外採用・国内採用・技能実習からの移行のどれを選ぶかで大きく変わり、海外採用が最も高くなる傾向があります。
ここでは固定額の断定は避け、費用構造の違いで比較します。具体的な金額は契約条件で動くため、項目で押さえてください。
海外から採用する場合と国内から採用する場合
海外採用は送り出し機関手数料・渡航費・入国前後の手続きが上乗せされ、国内採用はその分が軽くなります。
| 項目 | 海外採用 | 国内採用 |
|---|---|---|
| 送り出し機関手数料 | かかる | 原則なし |
| 渡航費(航空券) | 企業負担が一般的 | 原則不要 |
| 住居の準備 | 必要 | 本人が継続居住なら軽い場合あり |
| 在留資格手続き | 認定申請 | 変更申請 |
| 総額傾向 | 高い | 抑えやすい |
技能実習2号から特定技能1号へ移行する場合
技能実習2号からの移行は、すでに国内におり、技能試験が免除されるため、新規の海外採用より費用を抑えやすいルートです。
私の現場では、これが一番コストパフォーマンスの良い入口でした。すでに仕事ぶりが分かっている人材を、在留資格の変更で継続雇用できる。採用のミスマッチが起きにくいのが大きい。
業種別(介護・外食・農業・宿泊・製造など)の費用差
業種ごとに協議会加入の要否や必要な試験が異なり、それが費用差につながります。
建設分野はJAC(建設技能人材機構)への加入が前提で、年会費という固有コストがかかります。製造分野は協議会対応が比較的シンプルで、現場では手続きの負担が軽い印象です。介護は日本語要件が他分野より重く、教育・研修の隠れコストが乗りやすい。
特定技能1号と2号の費用差(家族帯同・長期コスト)
特定技能2号は在留期間に上限がなく更新可能で、家族帯同も認められるため、1号にはない長期コストの視点が必要になります。
ここは競合記事が薄い論点なので厚く書きます。1号は通算5年で区切りが来ますが、2号は更新を続けられる。つまり更新費用が長期にわたって発生し続けます。
一方で、2号は支援義務の扱いが1号と異なり、定着すれば毎月の支援委託費の負担構造が変わってきます。長く働いてもらうなら、5年で一区切りの1号より、2号を見据えた採用のほうが総コストの読みが立てやすいと私は考えます。
特定技能と技能実習はどちらが安い?費用と特徴の徹底比較
単純な月額だけ見れば技能実習が安く見える場面もありますが、自由度や定着率まで含めた総合では特定技能が有利になるケースが多いです。

費用だけで決めると後悔します。安く見えて、続かなければ採り直しのコストが二重にかかるからです。
月額費用・初期費用の比較表
| 項目 | 特定技能 | 技能実習 |
|---|---|---|
| 毎月の支援/監理費 | 支援委託費(平均28,386円・委託時) | 監理団体への監理費が発生 |
| 転職の可否 | 同一分野で可能 | 原則不可 |
| 受け入れ手続き | 在留資格申請+支援 | 監理団体経由 |
| 在留上限 | 1号は通算5年/2号は上限なし | 号により上限あり |
費用以外の違い(自由度・採用難易度・定着率)
特定技能は本人が転職できる分、待遇で選ばれる必要があり、技能実習は転職不可で縛りが強い。
私の正直な見立てを言います。即戦力を長く雇いたいなら特定技能。ただし転職されるリスクがあるので、給与と職場環境で選ばれ続ける努力が要ります。ここは迷う会社が多いところです。
費用負担のルールと注意点|本人に負担させてよいもの・ダメなもの
特定技能では、義務的支援にかかる費用を外国人本人に負担させることは認められていません。これは法令上の明確なルールです。

ここを間違えると違反になります。実務で一番神経を使うところなので、丁寧に整理します。
義務的支援費用は本人に負担させてはならない
受け入れ企業には支援義務があり、その支援を実施するための費用を本人に転嫁してはいけません。
登録支援機関への委託費も、本来は企業が負うべきものです。これを給与から天引きするような設計は、私は絶対に止めます。
帰国費用・食費・光熱費の徴収ルール
帰国費用は、本人が用意できない場合は企業が負担する必要があり、食費・居住費・光熱費を過度に徴収することも禁じられています。
実費を超えて住居費や光熱費を上乗せ徴収するのはアウトです。徴収するなら実費の範囲で、根拠を示せる形にしてください。
悪質ブローカーと不当な高額手数料を見極めるチェックリスト
不当な高額手数料を避けるには、契約前に内訳と支払い条件を文書で確認することが最大の防御です。
- 支援委託費が相場(月15,000〜30,000円)を大きく超える場合、内訳の説明を求める。
- 本人に義務的支援費用を負担させる契約になっていないか確認する。
- 解約条件・違約金・中途解約時の費用が契約書に明記されているか確認する。
- 手数料の支払いタイミングと返金条件が書面で示されているか確認する。
- 登録支援機関が出入国在留管理庁に登録されているかを確認する。
特定技能の受け入れ費用を削減する方法と補助金の活用

費用削減の柱は、紹介手数料を抑えるリファラル採用、支援委託費をカットする自社支援、そして補助金の活用の3つです。
ただし削減には条件と手間が伴います。安くする代わりに自社の負担が増える構造なので、体力に合わせて選んでください。
リファラル採用・自社支援による手数料カット
在籍する外国人の紹介でリファラル採用すれば、人材紹介手数料を大きく削減できます。
自社支援に切り替えれば、月平均28,386円の支援委託費をカットできます。ただし支援義務を自社で完遂する体制が必要で、母国語対応や通訳の人手が要ります。1人目から自社支援は、私はおすすめしません。
補助金・助成金の活用と会計・税務処理
自治体や国の受け入れ支援制度を使えば、費用の一部を相殺できる場合があります。
補助金は地域や時期で内容が変わるため、具体の金額はここでは「要確認」とします。お住まいの自治体の外国人雇用支援窓口で最新情報を確認してください。
会計処理では、紹介手数料や支援委託費は採用・人件管理に関する費用として経費計上できる性質のものです。勘定科目の最終判断は、顧問税理士に確認するのが安全です。
早期離職リスクと費用対効果(投資回収)の試算
早期離職は、初期費用が回収できないまま採り直しになる最大のコストリスクです。
特定技能は転職できる制度なので、入れて終わりではありません。投資回収を考えるなら、定着までの期間を見込んで初期費用を月数で割り、何か月働けば元が取れるかを試算してください。私の現場では、この試算をしてから採用に踏み切る会社ほど、離職で痛い目に遭いにくい傾向があります。
よくある質問(FAQ)と費用設計のまとめ
特定技能の採用費用は、初期費用+更新費用+毎月の支援委託費(平均28,386円)で組み立てるのが基本設計です。

特定技能の採用費用とは?始め方は?
よくある質問
複数人採用時のスケールメリットと費用最適化
複数人をまとめて採用すると、手続きの共通化や支援体制の固定費を人数で割れるため、1人あたりの費用を下げやすくなります。
支援委託費は1人ごとの単価でも、人数分の交渉余地が生まれます。住居も近隣でまとめれば準備コストを抑えられる。私が伴走した工場では、3人同時採用で1人あたりの初期費用がはっきり下がりました。
費用は怖がる対象ではなく、設計するものです。数字の根拠を一つずつ潰せば、特定技能は中小企業でも十分に回せます。困ったら、登録済みの専門家に内訳を見せて相談してください。
