外国人雇用の手続きやり方を完全解説|在留資格確認から入社前準備まで

- 外国人を雇い入れる前に、在留カードまたは旅券で就労可否を必ず確認する。
- 就労資格のない外国人を働かせると不法就労助長罪に問われる。
- 外国人雇用状況の届出は雇用主の義務で、怠ると30万円以下の罰金の対象になる。
- 雇用保険の被保険者なら届出期限は雇い入れた月の翌月10日まで。
- 海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書の交付申請が必要で、証明書の有効期間は交付日から3か月。
この記事では、行政書士として地方の中小製造業5社以上の採用実務に伴走してきた私が、現場でつまずきやすいポイントを交えて手順を解説します。所要時間の目安は、書類が揃っていれば届出だけなら半日。海外採用の場合は申請から入社まで2〜4か月かかります。
難易度は、すでに日本にいる就労ビザ保持者を雇うなら「易しい」。留学生の正社員採用や海外からの呼び寄せは「中〜難」です。前提として必要なのは、在留カードの実物確認と、雇用条件を記した労働条件通知書です。
外国人雇用 手続き やり方の結論

外国人雇用の手続きは「雇う前に在留資格を確認し、入社前後に届出を出す」という流れに尽きます。
私が現場で必ず最初に確認するのは、その人が「日本で、その仕事をして、合法か」の一点です。ここを飛ばして内定を出してしまい、後から在留資格が合わずに採用が流れたケースを何度も見てきました。
全体の流れを先に表にまとめます。自社がどのケースに当たるかを最初に見極めてください。
| 段階 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 採用前 | 在留カード・旅券で就労可否を確認 | 偽造カードに注意。番号失効をチェック |
| 入社前 | 労働契約締結。必要に応じ在留資格変更や認定証明書申請 | 変更が下りるまで就労させない |
| 入社後 | 外国人雇用状況の届出、社会保険加入手続き | 届出の怠りは30万円以下の罰金 |
雇用手続き前に確認すべきこと
雇用手続きの前に確認すべきは「就労できる在留資格か」「在留カードが本物で有効か」の2点です。

厚生労働省は、外国人を雇い入れる際に在留カードまたは旅券等で就労可否の確認が必要だと明示しています。
正直に言うと、ここを面接の場で口頭確認だけで済ませる会社が多い。私は必ず在留カードの実物をコピーさせてもらい、裏面の記載まで見ます。表面だけ見て安心するのは危険です。
- 在留カードの実物を見せてもらう(コピーでなく原本)。
- 在留資格の種類と、その仕事内容が合っているか確認する。
- 在留期限が切れていないか確認する。
- 裏面の就労制限の有無や資格外活動許可の記載を確認する。
就労が認められた在留資格か確認する
就労が認められた在留資格かどうかは、在留カードの「在留資格」欄と、その仕事の内容が一致しているかで判断します。
在留資格には、就労できるもの・できないもの・制限つきのものがあります。製造現場でよく使うのは「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」、そして資格外活動許可つきの「留学」です。
| 分類 | 代表例 | 製造現場での扱い |
|---|---|---|
| 就労可(業務範囲に制限あり) | 技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能 | 業務内容と資格が合っているか要確認 |
| 原則就労不可 | 留学、家族滞在 | 資格外活動許可があれば週28時間まで可 |
| 就労に制限なし | 永住者、日本人の配偶者等、定住者 | どんな仕事でも雇用可能 |
判断に迷ったら、私は出入国在留管理庁に「就労資格証明書」の交付を申請して白黒つけることを勧めています。これがあると、その人がその仕事をしてよいと公式に確認できます。
在留カードの確認をする。偽造に注意!

在留カードは、出入国在留管理庁のアプリや公式サイトで番号の有効性まで確認するのが鉄則です。
残念ながら、精巧な偽造カードは実在します。私も一度、見た目では全く分からないカードを社長から相談され、番号照会で失効と判明したことがありました。あれは肝が冷えました。
- 在留カード番号が、出入国在留管理庁の失効情報サイトで有効か照会する。
- ICチップ読み取りアプリで券面と記録が一致するか確認する。
- 顔写真・氏名・生年月日が本人や旅券と一致するか見比べる。
- 券面の傾けると色が変わるホログラム等の偽造防止加工を確認する。
入社前にしなければならない手続き
入社前にやるべきは、労働契約の締結と、在留資格が今の仕事に合わない場合の変更・認定申請です。

就労可能な在留資格を持っていない場合、入社前に在留資格の変更や認定証明書関連の手続きが必要になります。
つまずきやすいのは「内定を出せば働ける」と思い込むこと。変更許可が下りる前に働かせると不法就労になります。私は許可が出るまで入社日を仮置きにして待ってもらうよう、必ず社長に念を押します。
うまくいかないときは、申請から許可までの審査期間(おおむね1〜2か月)を逆算して、入社日を後ろにずらすのが現実的です。
労働契約を締結・契約書の作成
労働契約は、母国語または本人が理解できる言語で条件を示し、書面で締結します。
日本人と同じ感覚で日本語の契約書だけ渡すと、後で「聞いていない」というトラブルになります。賃金・労働時間・休日・業務内容は、必ず本人が読める形で書面化してください。
私の経験上、契約書を本人の言語で用意した会社は定着率が明らかに高い。手間はかかりますが、ここをケチると後で何倍も苦労します。
日本の別会社で働く外国人を雇用する場合(転職)

日本の別会社から転職してくる外国人を雇う場合は、在留資格の変更が不要なこともありますが、就労資格証明書での確認を強く勧めます。
同じ在留資格の範囲内の転職なら、原則として在留期限まではそのまま働けます。ただし前職と業務内容が違うと、資格に合わなくなる危険があります。
そこで使うのが就労資格証明書です。新しい仕事でその在留資格が有効かを出入国在留管理庁が確認してくれます。申請は任意ですが、これがあると更新時の不許可リスクを下げられます。
留学生を正社員などで雇用する場合
留学生を正社員として雇うには、卒業までに「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザへ在留資格変更許可を得る必要があります。

留学の在留資格は、資格外活動許可があってもアルバイト(原則週28時間)までしか認められません。フルタイムで働かせるには変更が必須です。
私が見てきた失敗で一番多いのが、変更申請が間に合わず4月入社に穴をあけるパターン。卒業見込みが立つ前年の12月〜年明けには動き出してほしいところです。
外国人を海外現地から採用して日本で雇用する場合
海外にいる外国人を日本で新規採用する場合は、在留資格認定証明書の交付申請から始めます。
出入国在留管理庁によると、在留資格認定証明書の交付申請が必要になるのは、海外にいる外国人を日本で新規採用する場合です。
流れはこうです。会社が認定証明書を申請し、交付されたら本人に送り、本人が現地の日本大使館・総領事館で査証(ビザ)申請をします。
- 会社が出入国在留管理庁へ在留資格認定証明書の交付を申請する。
- 交付された証明書を海外の本人へ送付する。
- 本人が現地の日本大使館・総領事館で査証(ビザ)を申請する。
- ビザを受けて来日し、入国時に在留カードが交付される。
うまくいかないときは、証明書の交付から入国まで余裕がないケース。私は交付されたらその日のうちに国際郵便で送り、現地でのビザ予約も並行で取ってもらうようにしています。
入社後にしなければならない手続き

入社後は、外国人雇用状況の届出と、社会保険・雇用保険の加入手続きを期限内に行います。
外国人雇用状況の届出は雇用主に義務付けられており、雇用保険の被保険者かどうかで手続きが分かれます。
| 手続き | 提出先 | 期限・様式 |
|---|---|---|
| 外国人雇用状況の届出(雇用保険あり) | ハローワーク | 雇用保険被保険者資格取得届。翌月10日まで |
| 外国人雇用状況の届出(雇用保険なし) | ハローワーク | 外国人雇用状況届出書で届出 |
| 健康保険・厚生年金加入 | 日本年金機構 | 被保険者資格取得届を提出 |
健康保険・厚生年金の適用事業所で加入させるときは、被保険者資格取得届を日本年金機構へ提出します。本人確認書類として運転免許証、有効なパスポート、現地公的機関発行の写真付き資格証明書の写しなどが案内されています。
「契約機関に関する届出」「活動機関に関する届出」
中長期在留者を受け入れた事業者や、本人が所属機関に届け出るべき場合があり、在留資格の種類によって届出の主体と内容が変わります。

これは本人側の届出と、受け入れ側の届出が混在していて、現場で一番ややこしいところです。たとえば本人が転職・退職したとき、本人が出入国在留管理庁へ所属機関の変更を届け出る義務があります。
会社としては「届出が必要なことを本人に伝えているか」を確認するのが実務上のポイント。私は入社時に届出の案内を本人に渡すよう、各社にお願いしています。
